試算表

試算表の見方
どこをどの順番で見るか

2026年8月12日 更新

毎月、会計ソフトから試算表は出てくる。けれど「これを見て何を判断すればいいのか」がはっきりしないまま、ファイルに綴じて終わっている——中小企業の現場でよく起きていることです。試算表は決算を待たずに会社の今の状態がわかる、月次でいちばん早く手に入る資料です。この記事では、試算表をどこからどの順番で見ればよいかを、経理担当と経営者それぞれの視点で整理します。

試算表とは

試算表とは、その期間までに記録したすべての仕訳を勘定科目ごとに集計した一覧表です。もともとは「借方と貸方の合計が一致しているか(=仕訳に転記ミスがないか)を試しに算する」ための検算表でしたが、会計ソフトが自動で集計する今は、月次で会社の状態を確認するための資料として使われています。

実務でよく出てくるのは合計残高試算表です。1枚の中に次の2つが同居しているのが特徴です。

つまり試算表は「今いくら持っているか(残高)」と「この期間でいくら稼いだか(発生額)」を同時に見られる表です。決算書との違いは、決算整理仕訳(減価償却・棚卸・引当金など)が入っていない途中経過であるという点です。ここを押さえておくと、後述する「試算表の利益をそのまま信じすぎない」という注意点が理解しやすくなります。

見る順番① 現金・預金と借入金

最初に見るのは、損益ではなく手元資金です。黒字でも資金が尽きれば事業は止まるため、優先度がいちばん高い情報です。

預金が減っているのに売上は落ちていない、という月は「利益は出ているが回収が遅れている」可能性があります。日々の入出金の見通しそのものは試算表では追いきれないため、資金繰り表の作り方で別に組むのが基本です。

見る順番② 売掛金・買掛金・棚卸資産

次に見るのは、資金が寝てしまう場所です。

この3つは、月次の利益が出ているのに資金が苦しい、というずれの原因になりやすい科目です。売上規模が同じでも、ここが膨らむと必要な運転資金は増えます。

見る順番③ 売上高と限界利益

ここでようやく損益を見ます。ただし、いきなり当期純利益を見ないのがコツです。

限界利益率が下がっていれば、売上が伸びていても「安く売った・原価が上がった」というサインです。ここは値決めや採算判断の土台になる数字なので、金額よりも率の変化を追ってください。考え方は損益分岐点とは?で計算式から解説しています。

見る順番④ 固定費と利益

最後に、固定費と利益を見ます。

固定費は一度上がると簡単には下がらないため、増えた月には「何が増えたのか」を必ず科目まで下ろして確認します。人件費の計画そのものについては人件費計画の立て方で整理しています。

試算表の利益をそのまま信じすぎない

試算表には減価償却費・棚卸の調整・賞与や社会保険料の期間按分などが入っていない場合があります。年払いの保険料や税金がまとめて計上された月は、その月だけ極端に利益が落ちて見えることもあります。月ごとに凸凹が出る費用は、あらかじめ12分の1で按分して見るか、「この月にはこの費用が乗る」と決めておくと、月次の比較が使える情報になります。

単月だけ見ても解釈できない

試算表でいちばん多いつまずきは、その月の1枚だけを見ようとすることです。「売上1,200万円・営業利益80万円」と言われても、それが良いのか悪いのかは1枚では判断できません。試算表が意味を持つのは、次のどれかと並べたときです。

このうち、経営判断にいちばん効くのは予算との比較です。前月比・前年比は「変化」しか教えてくれませんが、予算比は「そうあるべき姿からどれだけずれたか」を教えてくれます。差異の見方は予算実績差異分析(差異分析)とは?で扱っています。

経理担当と経営者で見るところは違う

同じ試算表でも、立場によって見るべきところは変わります。役割を分けておくと、月次の会議が短くなります。

経理担当が正しさの確認に時間を取られすぎると、意味を読む側に回す時間が残りません。月次の締めを早める工夫は月次決算を早期化する方法にまとめています。

Excelで比較表を作るときにつまずく点

試算表そのものは会計ソフトが出してくれますが、前月・前年・予算と並べた比較表は自分で作ることになります。ここがExcel作業の負担になりやすい部分です。

試算表を月別に並べた比較表そのものの作り方は月次推移表の作り方で、行・列の決め方から解説しています。Excel管理そのものの限界については予算管理にExcelの限界を感じたら?でも詳しく整理しています。

ツールを使うとどこが楽になるか

Zidottoは、売上・費用・利益を自由な軸で集計し、予算と実績を並べて見える化できる予算実績管理ツールです。試算表を起点にした月次の運用では、次のような点で手間を減らせます。

具体的な画面イメージや使いどころは活用シーンで、データの保全やセキュリティの考え方はセキュリティで紹介しています。月次の入力に使えるひな形は無料テンプレートで配布しています。

まとめ

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