部門別損益

部門別損益とは
部門別採算管理の始め方を解説

2026年7月29日 更新

「会社全体では黒字なのに、なぜか資金が楽にならない」——その原因が、実は一部の部門の赤字を他の部門の利益が覆い隠していることだった、というのは珍しい話ではありません。全社の損益計算書は会社を1つの塊として見るため、内訳のどこで儲かり、どこで損をしているのかが見えないからです。この記事では、部門別損益とは何か、部門別採算管理をどう始めればよいかを、専任の管理会計担当がいない中小企業の視点で整理します。

部門別損益とは

部門別損益とは、会社全体の売上と費用を「部門」という切り口で分けて、部門ごとに利益がいくら出ているかを表したものです。これを損益計算書の形にまとめたものを部門別損益計算書と呼びます。

全社の損益計算書が「会社は儲かったか」に答えるのに対して、部門別損益は「どこで儲かったか」に答えます。営業所ごと、事業部ごと、店舗ごと、あるいは商品カテゴリごとに数字を分けることで、次のような判断ができるようになります。

部門別採算管理を始める4ステップ

### ステップ1: 部門の切り方を決める

最初に決めるのは「何を1つの部門とするか」です。組織図どおりに分けるのが基本ですが、必ずしもそれが最適とは限りません。判断の目安は、その単位に責任者がいて、売上か費用のどちらかを動かせるかです。誰も数字に責任を持てない単位に分けても、結果を見て打ち手につなげられません。

最初から細かく分けすぎると、後述する配賦の手間ばかりが増えて続かなくなります。まずは3〜5部門程度の粗い単位から始め、必要になってから細分化するのが現実的です。

### ステップ2: 売上と直接費を部門に紐づける

次に、どの部門の売上か、どの部門が使った費用かがはっきりしているものを紐づけます。売上、仕入・原価、その部門の人件費、その部門だけが使う外注費や広告費などが該当します。ここは判断に迷う余地が少なく、会計ソフトの補助科目や部門コードを使えば機械的に振り分けられます。

この段階で「売上 - 直接費」を計算すると、部門ごとの直接利益が出ます。多くの中小企業では、まずここまでで十分に有益な発見があります。

### ステップ3: 共通費の扱いを決める(配賦)

悩ましいのが、本社家賃・経理や総務の人件費・全社共通のシステム費用など、特定の部門に紐づかない共通費です。これを何らかの基準で各部門に割り振ることを配賦といいます。よく使われる配賦基準には次のようなものがあります。

配賦は「正しさ」より「続けられること」を優先する

配賦基準に唯一の正解はありません。厳密さを追い求めて基準を複雑にすると、毎月の集計が重くなって続かなくなります。まずは売上高比などの単純な基準で始め、基準を毎月変えないことのほうがはるかに重要です。基準が一定なら、前月・前年と比べたときの変化に意味が出ます。

### ステップ4: 毎月同じ形で更新して比べる

部門別損益は、一度作って終わりでは価値が出ません。毎月同じ形で更新し、前月・前年同月・予算と比べてはじめて「良くなっているのか悪くなっているのか」が読み取れます。部門別の予算をどう組むかは部門予算のテンプレートはどう作る?で、予算と実績のズレの読み解き方は予算実績差異分析(差異分析)とは?で解説しています。

赤字部門をどう判断するか — 貢献利益という見方

部門別損益で赤字部門が見つかったとき、すぐに「撤退すべき」と結論を出すのは危険です。配賦された共通費のせいで赤字に見えているだけ、というケースがあるからです。

判断の材料になるのが貢献利益、つまり「売上 - 変動費 - その部門固有の固定費」です。共通費を配賦する前の段階で、その部門が全社の共通費の回収にどれだけ貢献しているかを表します。

つまり、配賦後の最終利益だけで部門の存廃を判断せず、配賦前の貢献利益もあわせて見ることが大切です。変動費・固定費の分け方や限界利益の考え方は損益分岐点とは?で詳しく整理しています。

Excelでの部門別損益管理でつまずきやすい点

部門別損益の考え方そのものは難しくありません。つまずくのはたいてい、毎月の運用のほうです。

Excel管理全般の限界については予算管理にExcelの限界を感じたら?でも整理しています。

ツールを使うとどこが楽になるか

Zidottoは、数字を「部門 × 勘定科目 × 期間」といった複数の軸で管理し、軸を切り替えるだけで集計し直せる予算実績管理ツールです。部門別採算管理では、次のような点で手間が減ります。

実際の画面イメージや使いどころは活用シーンで、データの保全やセキュリティの考え方はセキュリティで紹介しています。

まとめ

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